生活習慣病について
生活習慣病はかつて成人病と呼ばれ、主に乱れた生活習慣(食生活、運動、飲酒、喫煙など)から発生するといわれています。
生活習慣病から来る病気・疾患
糖尿病、肥満症、脳卒中、心臓病、高脂血症(脂質異常症)、高血圧症、動脈硬化症、痛風(高尿酸血症)など。
当院の治療方針
医学的な根拠に基づいた生活習慣の指導をいたします。生活習慣病の改善は、まず、日常生活の改善から始まることがほとんどです。今までできなかった健康的な生活を継続していくことは、簡単なことではありませんが、日々の経過を患者さんと一緒に二人三脚で歩んでいくことを心がけます。
また、重篤な糖尿病など、高度な医療機関での治療が必要な場合には、適切な医療機関をご紹介し、紹介病院と十分な連携を取りながら、治療をすすめていきます。
では、上記の生活習慣病の一つ一つがどんな病気なのか、深ぼりしてみたいと思います。
糖尿病
糖尿病については、詳しく記載しているページがありますので、そちらをご覧ください。
肥満症
肥満症は、過度の脂肪が体に蓄積され、体重が増加した状態のことを指します。体重が増加すると、多くの健康問題が引き起こされる可能性があります。
肥満症の診断は、体重(kg)を身長(m)で割った数値、すなわち体重指数(BMI)で評価されます。BMIが25以上30未満の場合、過体重、BMIが30以上の場合、肥満と診断されます。
肥満の主な原因は、過剰なエネルギー摂取と運動不足です。摂取したエネルギーが消費されず、脂肪として蓄積されることで、肥満につながります。他にも、遺伝的要因、ホルモンのバランスの乱れ、ストレス、睡眠不足などが、肥満のリスクを高める要因となります。
肥満は、様々な健康問題を引き起こすリスクを増加させます。例えば、2型糖尿病、高血圧、心疾患、脂質異常症、関節疾患、睡眠時無呼吸症候群などです。
肥満の治療は、食事療法、運動療法、行動療法などがあります。重度の肥満の場合、薬物療法や外科手術(胃バイパス手術、胃バンド手術など)が選択されることもあります。ただし、肥満の治療は、単なる体重減少だけでなく、健康的な体重を維持し、生活習慣を改善することが重要です。
脳卒中
脳卒中については、詳しく記載しているページがありますので、そちらをご覧ください。
心臓病
"心臓病"は、心臓に関連したさまざまな疾患の総称です。これには、冠動脈疾患、心筋梗塞、心不全、心筋炎、心臓弁膜症、心室粗動、先天性心疾患などが含まれます。以下は、一般的な心臓病のいくつかの例です。
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冠動脈疾患(Coronary Artery Disease, CAD): これは、冠動脈(心臓へ酸素と栄養を供給する血管)にプラーク(コレステロール、脂肪、カルシウム、その他の物質で構成された硬い物質)が蓄積され、血流が制限される状態です。これにより、心臓に必要な酸素と栄養が不足し、狭心症(胸痛)や心筋梗塞(心臓の部分的な死)を引き起こす可能性があります。
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心筋梗塞(Myocardial Infarction, MI): 通常、心筋梗塞は、冠動脈の一部が突然完全に詰まることで、その部分の心臓組織が酸素を受け取れずに死ぬ状態です。これは、通常、冠動脈内のプラークが破れて血栓(血の塊)ができ、血流を遮断することによって引き起こされます。
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心不全(Heart Failure): これは、心臓のポンプ機能が弱くなり、体に必要な血液を適切に送り出せなくなる状態です。心不全は、冠動脈疾患、高血圧、糖尿病、心臓弁膜症、心筋炎、肺疾患などの他の心臓病または疾患の結果として発生する可能性があります。
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心室粗動(Ventricular Fibrillation, VF): これは、心臓の下部(心室)の筋肉が無秩序に速く収縮し、適切に血液を送り出せなくなる状態です。これは、通常、心臓の電気信号の異常が原因であり、死に至る可能性があります。
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先天性心疾患(Congenital Heart Disease): これは、生まれたときから存在する心臓の構造上の異常です。これには、心臓の壁に穴がある、心臓弁が正常でない、心臓の血管が正常でないなど、様々なタイプがあります。
心臓病のリスク要因には、高血圧、高コレステロール、糖尿病、喫煙、肥満、運動不足、遺伝、年齢、性別、飲酒などがあります。心臓病の予防および治療には、適切な食事、運動、禁煙、アルコールの摂取量の制限、ストレスの管理、定期的な健康診断、必要に応じて薬物療法や手術が含まれます。
高脂血症(脂質異常症)
高脂血症、または脂質異常症、は血液中の脂質(脂肪)の濃度が正常よりも高い、または低い状態を指します。脂質には、コレステロール、トリグリセリド(脂肪酸の一種)、リポ蛋白(脂質と蛋白質の複合体)などが含まれます。
血液中の脂質は、体内のエネルギー源として、細胞の構造や機能の一部を形成し、ホルモンの生成に関与しています。しかし、脂質の濃度が過剰になると、動脈硬化(血管の壁が硬く、厚くなる状態)を引き起こすリスクが高まります。
高脂血症の主なタイプは以下の通りです。
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高コレステロール血症: LDLコレステロール(「悪玉」コレステロール)のレベルが高い状態。LDLコレステロールは、動脈の壁にプラーク(硬い脂肪の塊)を形成する可能性があります。
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高トリグリセリド血症: 血液中のトリグリセリドのレベルが高い状態。
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低HDLコレステロール血症: HDLコレステロール(「善玉」コレステロール)のレベルが低い状態。HDLコレステロールは、体内の過剰なコレステロールを肝臓に運び、排出する役割があります。
高脂血症の原因は、遺伝的な要因、肥満、運動不足、食事(特に、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールを多く含む食品の過剰摂取)、糖尿病、アルコールの過剰摂取、甲状腺機能低下症、肝臓疾患、腎臓疾患、特定の薬物(例:ステロイド、ベータブロッカー)などがあります。
高脂血症の治療は、生活習慣の改善(健康的な食事、運動、体重管理、禁煙、アルコールの制限)、および必要に応じて薬物療法(スタチン、フィブラート、ニコチン酸、コレスチラミンなど)が含まれます。
高血圧症
高血圧症は、血圧が常に異常に高い状態を指します。血圧は、心臓が血液を全身に送り出す力と、血管の壁がその血液に抵抗する力によって決まります。
血圧は、「収縮期血圧」と「拡張期血圧」の2つの数値で表されます。収縮期血圧は、心臓が収縮して血液を送り出す際の血圧で、拡張期血圧は、心臓がリラックスして血液を取り込む際の血圧です。例えば、血圧が「120/80 mmHg」と表される場合、120は収縮期血圧、80は拡張期血圧を示します。
一般的に、血圧が130/80 mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。ただし、高齢者の場合、この基準が異なることがあります。
高血圧の原因は、特定の医学的な原因が見つからない「原発性高血圧」、他の病気や薬物が原因で発症する「二次性高血圧」と、二つの大きなカテゴリーに分類されます。
原発性高血圧の場合、遺伝的な要因、肥満、運動不足、食塩の過剰摂取、アルコールの過剰摂取、ストレス、年齢、喫煙などが関連していると考えられます。
二次性高血圧の場合、腎臓疾患、甲状腺機能異常、副腎腫瘍、脳血管疾患、睡眠時無呼吸症候群、特定の薬物(例:ノンステロイド抗炎症薬、避妊薬)や物質(例:コカイン、アンフェタミン)などが原因となることがあります。
高血圧は、脳卒中、心臓病、腎臓病、視覚障害などのリスクを高めるため、適切な管理が重要です。治療には、生活習慣の改善(健康的な食事、運動、体重管理、塩分制限、アルコール制限、禁煙、ストレス管理)と、薬物療法(降圧薬、利尿薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、βブロッカーなど)が含まれます。
動脈硬化症
動脈硬化症は、動脈(心臓から全身に血液を運ぶ血管)の壁が硬くなり、狭くなる病気です。これは、脂質、カルシウム、炎症反応などが動脈の内壁に蓄積し、プラーク(硬い脂肪の塊)を形成することで起こります。
プラークの蓄積によって動脈の内径が狭くなると、血流が妨げられ、体の組織や器官に十分な酸素や栄養素が届かなくなります。また、プラークが破れると、血液が凝固し、血栓ができる可能性があります。血栓が動脈を完全に塞ぐと、血流が止まり、組織や器官が損傷することがあります。
動脈硬化は、心臓病(冠動脈硬化症)、脳卒中(頸動脈硬化症、脳動脈硬化症)、末梢動脈疾患(下肢動脈硬化症)など、さまざまな疾患の原因となります。
動脈硬化の原因は、遺伝的な要因、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、運動不足、喫煙、ストレス、不健康な食事(特に、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールを多く含む食品の過剰摂取)、慢性炎症などが関連しています。
動脈硬化の予防や進行の遅延には、生活習慣の改善(健康的な食事、運動、体重管理、禁煙、ストレス管理)、血圧、コレステロール、血糖の適切なコントロール、および必要に応じて薬物療法(スタチン、抗血栓薬、降圧薬など)が重要です。
痛風(高尿酸血症)
糖尿病については、詳しく記載しているページがありますので、そちらをご覧ください。