健康診断で「要再検査」。放っておくとどうなる?
健康診断の結果票に「要再検査」「要精密検査」「要医療」と書かれていた。でも自覚症状はまったくない——。そのまま引き出しにしまい込んでしまった経験はないでしょうか。
結論から言えば、症状がないからこそ放置が危険な項目があります。何が起こり得るのかを、項目ごとに整理します。
まず「判定区分」の意味を知る
- 異常なし:基準範囲内です
- 要経過観察:基準を少し外れています。生活の見直しと次回健診での確認が必要です
- 要再検査:もう一度測り直す必要があります。一時的な変動か、本当に異常かを確かめます
- 要精密検査:異常の原因を詳しく調べる必要があります
- 要医療(要治療):すでに治療の対象です。受診してください
「要再検査」は「病気が確定した」という意味ではありません。だからこそ軽く見られがちですが、確かめないままでは判断ができません。
放置するとどうなるか——項目別
血圧が高い
高血圧はほとんど症状が出ません。しかし血管には常に負担がかかり続けています。長期間続くと脳卒中・心筋梗塞・心不全・腎機能の低下につながります。
「頭痛もないし平気」と考えるのが最も危険なパターンです。
→ 高血圧の治療
コレステロール・中性脂肪が高い
脂質異常症も自覚症状がありません。LDLコレステロールが高い状態が続くと、動脈の壁にコレステロールがたまって血管が狭くなり、心筋梗塞や脳梗塞の危険が高まります。
中性脂肪が極端に高い場合は急性膵炎を起こすこともあります。
→ 高脂血症(脂質異常症)の治療
血糖値・HbA1cが高い
糖尿病は、のどの渇きや体重減少が出るころにはかなり進んでいます。放置すると網膜症(視力低下・失明)、腎症(透析)、神経障害(しびれ・壊疽)という三大合併症が進行します。
いずれも一度進むと元に戻りません。早い段階で手を打てるかどうかで、その後が大きく変わります。
→ 糖尿病の治療
肝機能(AST・ALT・γ-GTP)が高い
お酒のせいと思われがちですが、飲まない方でも脂肪肝で数値が上がります。脂肪肝の一部は炎症を起こし、年月をかけて肝硬変・肝がんへ進むことがあります。ウイルス性肝炎が見つかることもあります。
腎機能(クレアチニン・eGFR)の低下
腎臓はかなり悪くなるまで症状が出ません。むくみやだるさを感じたときには進行していることが多く、そして低下した腎機能は戻りません。早期に血圧と血糖を管理することが、透析を遠ざける最善の方法です。
尿酸値が高い
痛風発作が起きるまで放っておかれがちですが、高い尿酸値は腎障害・尿路結石の原因にもなります。
貧血(ヘモグロビンが低い)
女性では「いつものこと」と流されやすい項目ですが、消化管からの出血が原因のことがあります。男性や閉経後の女性の貧血は、特に原因を調べる必要があります。
便潜血が陽性
「痔だから」と自己判断して精密検査を受けない方が少なくありません。大腸がんは早期に見つかれば治せる病気です。陽性が出たら、必ず大腸内視鏡の検討をしてください。
胸部レントゲン・心電図の異常
自覚症状のない不整脈や心肥大が見つかることがあります。心房細動は脳梗塞の大きな原因のひとつです。
よくあるご質問
毎年「要経過観察」です。そのままでいいですか?
数値が横ばいなら経過を見ることもありますが、少しずつ悪化しているなら話は別です。過去数年分の結果を並べて見ることが重要ですので、古い結果票もお持ちください。
再検査はいつまでに受ければいいですか?
項目によりますが、結果を受け取ってから1〜2か月以内を目安にしてください。次の健診まで待つ必要はありません。
薬を飲み始めたら一生やめられないと聞きました
必ずしもそうではありません。生活習慣の改善で減量・中止できる場合もあります。「薬を始めたくないから受診しない」というのが最も損な選択です。まず相談してください。
職場の健診結果でも診てもらえますか?
はい。健診を受けた場所にかかわらず、結果票をお持ちいただければ対応します。
どの科に行けばいいかわかりません
判断に迷う場合は、まず内科にご相談ください。専門的な検査が必要な場合は適切な医療機関をご紹介します。
結果票を持って受診してください
当院では健康診断で指摘された項目についてのご相談を受け付けています。結果票をそのままお持ちください。検査値を見ながら、再検査が必要か、生活の見直しで足りるか、治療を始めるべきかをご説明します。
まとめ
健診で指摘される項目の多くは症状が出ないまま進みます。そして腎機能・網膜症のように、進んでからでは戻らないものがあります。
「症状がないから大丈夫」ではなく、「症状がないうちに確かめる」ためにあるのが健康診断です。引き出しにしまった結果票を、一度取り出してみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。
※判定区分の名称や基準値は、健診機関によって異なる場合があります。
